Natori Gawa
名取川
Gedicht :
みちのくの、しのぶもじずり誰ゆゑに、乱れそめにし思ひをも、 せめてしばしは忘れ草の。 袖にうつして往く道の、ひとりの旅の名は二人づれ、 ひだの踊りは面白や。 ゆききの人の笑ふとも、何んの儘、よさ儘の川、 浮名を流す此の川の、名もいまさらに恨めしき。 よしや流れもはてしなき、底なる我を救はん。 みもすそがはの流れには、てんせうだいじんの住み給ふ。 熊野なる、おとなしがはの瀬瀬には、ごんげんみかげをうつし給へり。 光源氏のいにしへ、やそせとながめける。 いくせわたりもやすの川、すのまた、阿瀬か、くんぜ川、 そばは淵なるかたせがは。 思ふ人によそへては、あぶくまがはも懐しや。 つらきに付けて悔しきは、あゐぞめ川なりけり。 まこもの、 もくづの下を押しまはし、かづきあげすくひ上げ、 |